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優希という名前に変えた理由。

(少し長文になります。)

 

実はこのことはお伝えすべきか、すごく悩んでいました。

実は今でも悩んでいます。

 

両親にはもちろん、もうすでに話し、とても理解をしてくれ、応援もしてくれ、これからも家族として、唐紙屋として、唐長を守っていこうと前向きに考えています。

 

わたしは両親のもとに長男として生まれ物心ついた頃は、弟と妹がいたため、お兄ちゃんとして当たり前に幼少期を過ごしました。

でも、母の真似をして編み物をしたり、家庭科で裁縫を習うと、楽しくてランドセルの代わりに自分用のナップサックを縫って作ったり、お料理の授業が好きな変わった男の子でした。

 

性格なのか、長男だからなのか、特に自分を表に出さない子供だったようで、いつの間にか高校も卒業して、家業の手伝いを始めました。

手伝いと言っても、職人として唐紙の世界を背負うという重たい覚悟などなく、大学も行かない、特にどんな仕事をしたいとも思わない、ならば少し雑用を手伝ってみたら?との両親のアドバイスがあり、はじめた感じです。

そんな手伝いっぷりのまだ未熟なわたしが23歳のとき元妻と若くして結婚しました。

当然、周りから責任や期待が大きくなり、それに応えるべくプレッシャーを感じながら生きてたようにおもいます。でも、性格が柔らかいというか、野心的な感覚をあまり持たない性格なので、けっこうのんびりしていたようです。

でも、長男であるがゆえ、いつの間にか唐長の12代目を継ぐ立場と自他共に意識して、その立場に向かって生きてきました。全く自分の内面のことに気づくことなく何年も過ぎました。

 

数年前、本物の唐紙を追求し、納得できる工房にしたく、規模を小さくし、店舗も全て閉鎖し、ココンの店舗は妹の会社に譲り、最終的に最小規模まで小さくしました。

日々の仕事は以前と全く変わり、自分が納得する唐紙だけを作ることに専念できるようになり、しっかり唐紙と自分を見つめる時間を持つことができました。

自分が好きな唐紙の色、唐紙の文様、唐紙の世界。

自分の好みを素直に考え仕事をしながら、どんどん自分の中から「好き」という感覚が溢れてきました。

同時に自分の心の中に戸惑いが溢れてきました。

仕事以外の日常にも素直に「好き」を前面に出すと今までとは違う自分というか、本来の自分の感性が溢れてきました。

子供の頃、好きだった編み物やお料理、好きな服、好きな髪型、好きな色、好きな日常。

どんどん今までの自分では望まなかった感覚が溢れてきました。望まなかったというより、望めなかったという方が正しいのかもしれません。

長男として、12代目として、男としてこうあるべきだっていう感覚が自分が本来望む感覚を封印していたのかもしれません。

もちろん仕事や立場により意識のコントロールや制約を求められたりは誰でもあることです。

でも自分が感じている感覚はもっと心というか遺伝子の奥底から感じる感覚の違和感みたいなものなんです。

 

心の違い。

 

男として生まれ、男だと思って生きてきました。

でも、望むことはどこか違う。

 

だれだって男や女の区別なく、好き好み、趣味、感覚、個人差があります。

ピンクが好きな男性もいるし、濃い青や黒が好きな女性もいる。

 

でも、どこかで見えない境界があり、それぞれは自分が生きるカテゴリーに違和感を感じず生きられる。

 

でも、その見えない境界の向こう側にいるはずなのに、生まれた時に決められたこの場所に今いる。

そんな違和感がわたしにはあります。

 

いろいろ長く書いてきました。

 

世間ではこう言った違和感を、

「性別違和」と言ったりします。

以前は性同一性障害と言いました。

 

心の性と体の性が一致しないこと。

 

わたしの場合、男性の体で生まれ、でも心は女性。

 

でも、このことになかなか気づくことが出来ませんでした。

立場や環境も影響していたかもしれません。

でも、もしそうなら、もっと早く気づくんじゃないか?

 

ここまで読まれて、何人かの方は「それじゃ、優希さんは男性が恋愛対象なのね!」と思われる方もあると思います。

 

でも、わたしの場合、男性へ魅力を感じることはありません。

過去、女性とも結婚しました。

今でもパートナーとして望む人は女性です。

 

混乱されますよね。

 

最近「LGBT」という言葉を目にするようになりました。

このLGBTとは性的マイノリティを総称する言葉として使われます。

 

Lはレズビアン

Gはゲイ

Bはバイセクシャル

Tはトランスジェンダー

 

わたしの場合はトランスジェンダーとレズビアンにあたります。

 

単純に男性を好きになれば、子供の頃に違和感を感じ、早くに気づけたかもしれません。

 

でも、わたしはそうではなかった。

 

小学校の頃、好きになったのは英里ちゃんという女の子でした。

伊藤つかささんが大好きでした。

ピンクレディのミーちゃんが好きでした。

 

伊藤つかささんとミーちゃん、どちらも好きなのに、女性としてタイプが違う。

 

子供の頃は「好き」という一言でしたが、今から思えば、

伊藤つかささんは「好き」

ミーちゃんは「憧れ」

だったに思います。

 

今でもたくさん「憧れ」の女性がいます。

こんな人になりたい!

こんな人生を歩みたい!

 

その想いに素直に生きようと思い、日々過ごしています。

 

すでに治療もはじめています。

だんだん体が女性に近づきはじめました。

これからもどんどん変わっていくと思います。

もうすでに、最近会ったことがある人は変化に気づいている方もあると思います。

 

だから、思い切ってお話ししておこうと思いました。

 

わたしの変化を見て「優希さんて女装趣味があるのかな?」とか、「女みたいな格好して変!」とか思う人もあると思います。

 

先日、ある友人が言ってくれました。

「女みたいって変ですよね。女なんだから」

たった一言だったけど、とても嬉しい言葉でした。

 

わたしのような性別違和の人は、女装(男装)をしたいんじゃない。

女性(男性)を演じたいんじゃない。

心のままに女性(男性)でいたい。

ただそれだけです。

 

だから、これからは女として生きようと思っています。

両親も応援してくれています。

母は「わたしの着物、一緒に着れたらいいなぁ!」と娘として毎日、接してくれています。

その母が言ってくれました。

「あんたは男の気持ちも女の気持ちも両方わかる。美意識も男女両方の目線を持っている。こんなに強い武器を持ってるんだから、自信を持って、唐紙の世界にあんたの美意識を広げなさい!」

 

美意識は唐長が最も大切にする言葉。

世界中どこへいっても通じる美しさ。

数千年、遠い昔から今を経て未来へ通じる美しさ。

この美しさを操る人。そんな生き方をしたいと思います。

 

2019年10月

千田優希